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RADEON欲しさに購入したPM9500には、以前に書いた通りメルコのG4カードが載っていた。このHG4-PM350はCPUの1/2で動作する2MBの2次キャッシュを積んだモデルで、いままであまり見たことがない。メルコ社はすでにCPUアップグレードカードの販売をやめてしまったので、いまとなってはオークション等でしか入手できない稀少品ではあるが、メルコのG4カードはクロックアップ耐性が高いと聞いているし、何しろメインマシンに使っていない余っているカードである。これはいじってみるしかないだろう。
HG4-PM350

メルコのG3/G4カードのクロックアップには2つの方法がある。ひとつは基盤上のディップスイッチによってCPUの動作倍率を変更する方法、もうひとつはクロックアップキットを使ってバスクロックを変更する方法だ。まずは誰でも簡単にできるディップスイッチの変更を試してみた。PM9500はHDD等の準備が全くできていないので、テストにはメインマシンのPM7300を使用。RADEON、AEC-6280+IBM IC35LO40AVVA07+PIONEER DVD-105S、Century USB CARD、128MB 60nsEDOメモリx4枚という通常の状態のままだ。

HG4-PM350の動作クロックは350MHz。バスクロックが46.6MHzで、CPUはその7.5倍で動作する。倍率はヒートシンクの右側下の方にある4つのディップスイッチのON/OFFで、最高9倍まで設定を変更することができる。スイッチと倍率の関係については「Hal7600 Macintosh Room」(2004年12月に閉鎖)のHG4クロックアップ編を参考にした。
ドライバはメルコ標準のHG4機能拡張ではなく、XLR8 MACh Speed Control 2.6.1を使った。HG4機能拡張には2次キャッシュをCPUの1/2、1/2.5、1/3で動作させる3種類があるが、動作比率が固定なのでクロックアップには何かと不便だ。XLR8のドライバは、2次キャッシュが動作できる比率に自動調整してくれるので、CPUのクロックを順に上げていくだけでいい。システムの安定度もPowerLogixのG3/G4カードで実証済みだ。

4つのディップスイッチをONにして9倍設定で起動する。何の問題もなく起動した。46.6x9=420MHz、2次キャッシュも210MHzで安定動作している。メルコさんがどうしてこの商品を420MHzではなく350MHzで売ったのかと不思議に思うほど、何の問題も感じられない


420/210MHzの安定感からするとまだまだいけそうだが、このカードのクロック倍率は9倍が上限なので、あとはバスクロックを上げるしかない。メルコのG3/G4カードには、どういうわけかクロックアップ用のコネクタ(カードの右下の方にある5x2列の穴がそうだ)が標準装備されており、ここにPK-PM366OCというクロックアップキットを取りつけてバスクロックの調整ができるのだが、これはとっくの昔に販売が終了してしまった。たまにオークションに登場するのだが、平気で1万円近い値が付くプレミアム商品なので、とても買う気にはなれない。


クロックアップキットの機能は、実はそれほど複雑なものではない。標準の46.6MHzオシレーターの出力を止めて、代わりのクロックを注入するだけである。したがって理屈がわかっている人なら自作モジュールで対応することが可能だ。
実を言うと僕の手元には、以前オークションで取引きをした方から譲っていただき、後生大事に取っておいた55MHzのクロックアップモジュールがあった。いつかメルコのG4カードを買ったら試そうと思っていたのだが、ようやくそのときがやってきたわけだ。

しかしバスクロックが55MHzでは495MHzになってしまう。いくらなんでも無理だろうと思いながら起動してみたら、やはりだめだった。倍率を8倍に下げて55x8=440MHzにしてみると動作する。PowerLogixのG4カードでは52.5x9=472MHzの動作実績があるので、モジュールについているオシレーターを50〜53MHzあたりのものに交換すればもう少しいけるかも。久しぶりにはんだごてを使う機会がやってきたようだ。


オシレーター

さっそくオシレーターを買いに出かけた。数百円のパーツを買うためだけに上京するわけにもいかないので、大須の数少ない電子部品ショップを回ったのだが、そもそも店がほとんどなく、50MHzあたりのオシレーターを扱っている店はほとんどない。結局入手できたのはもともとついていたオシレーターよりかなり大きなもの、しかも50MHzと54MHzだけで、一番ほしかった52〜53MHzは入手できなかった。売っていたのは、LX100の3.3V電源化パーツのときと同じタケイムセンさん。名古屋でMac改造用の電子部品を買おうとすると、結局ここに行き着くようだ。

オシレーター

オシレーターを買う際、オシレーターの交換ができるようにするためのソケットがあるのを見つけた。実を言うとそんなものが存在していることすら知らなかったのだが、せっかく3個になったことだし、このソケットをかませてオシレーターの交換ができるようにしようと思いついた。知識もテクニックもないくせに、考えることだけは一人前である。
もともとの基盤の構成と追加で取り付けるソケットを図にすると、下記のようになる。あとで調べてみたら、PM9600関連のサイト「Mac Towerism」に紹介されているHG3-PM366SLC-MWの改造とほぼ同じだった。

図

図
図
 
裏側から見るとこんな感じ。
基盤についていた積層セラミックには103Kの文字があるのでたぶん0.01μFだと思うが、よくはわからない。






図


下手くそなはんだづけを完了し、下記のようなモジュールができあがった。真ん中が大きめの50MHz、右が小さめの55MHzのオシレーターを装着したところ。55MHzのオシレーターは足の位置ががソケットにあわなかったので、むりやり上下に開いて装着してある。

ソケット

  50.0MHz

 

55.0MHz  

このモジュールによって、50x9=450MHzで起動することができた。54x9=486MHzではだめだった。十分な検証とは言えないものの、工作を楽しみ、450/180MHzの安定動作を確保して、いつもの僕なら"350から450へのクロックアップに成功しとりあえず満足である"と締めくくるところだが、今回はここで終われない事情があった。実はちょうどこのときMobyさんのチキチキベンチマークレース(最終回)のエントリー受付まっただ中だったのだ。PM7300での限界に加え、HDDの不調が重なったことに業を煮やした僕は、ATAカードとHDD、RADEONを9500に移設して、さらに上をめざすことにした。

結果は・・・実にあっけなく55x9=495MHzでの起動に成功した。メルコのドライバでもやや不安定ながら起動し、最後までフリーズすることなくベンチをとることができた。最初から9500で試していれば、オシレーターの購入や加工作業に余計な金と時間を費やすこともなかったということか。でもまあ楽しかったし、勉強になったし、これはこれでありかな。
ということで下記がMobyさんにお送りしたSystem Infoのベンチ結果である。

SystemInfo_システム
SystemInfo_CPU
SystenInfo_ビデオ
SystemInfo_ディスク
SystemInfo_FPU

実はこの作業が終わってすぐに、偶然クロックアップキットPK-PM366OCが手に入ってしまった。自作モジュール制作はますますもって無駄な作業となったわけである。クロックアップキットの方は0.1MHzずつのバスクロック調整ができてさらに楽しめそうではあるが、これについてはそのうちまた暇になったときということにして、とりあえず今日のところは、PM9500では495MHz起動可、PM7300では450MHz常用可という中間報告のようなレポートでお茶を濁しておこうかと。長い割に内容のないページでごめんなさい。

【2002.11.12】

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