AIN'T
NOTHING LIKE THE REAL THING
KEEP ON LOVIN' ME HONEY
YOU'RE ALL I NEED TO GET BY
BABY DON'TCHA WORRY
YOU AIN'T LIVIN' TILL YOU'RE LOVIN'
GIVE IN, YOU JUST CAN'T WIN
WHEN LOVE COMES KNOCKING AT MY HEART
COME ON AND SEE ME
I CAN'T HELP BUT LOVE YOU
THAT'S HOW IT IS (SINCE YOU'VE BEEN GONE)
I'LL NEVER STOP LOVING YOU BABY
MEMORY CHEST
友人から教えられた「YOU'RE ALL I NEED」は、当時すでにスターだったマーヴィンゲイと売り出し中のタミーテリルの2枚目のデュエットアルバムだった。タミーは、マリーウェルズ、キムウェストンとのデュエットに続くマーヴィンの3番目のパートナーで、後にはダイアナロスもパートナーとなるのだが、2枚目のデュエットアルバムを発表したのはタミーテリルだけ。それほど彼女の声はキュートだし、何よりマーヴィンとのハーモニー、掛け合いは群を抜いている。僕にはまるでふたりがこのアルバムをつくるために生まれてきたように感じられた。
"生まれてきたように"などと妙な言葉を使うのには理由がある。2人はすでにこの世の人ではないのだ。
「YOU'ER ALL I NEED」を製作したとき、タミーはすでに脳腫瘍に冒されていた。ショーの最中にマーヴィンの腕の中に倒れ込んだ彼女は、1970年、24歳の若さでこの世を去り、激しいショックを受けたマーヴィンはその後1年近くの間、音楽活動が全くできなくなってしまった。
やがて活動を再開し新たな境地を切り拓いたマーヴィンは、1983年に初のグラミー賞を受賞するが、翌年45歳の誕生日の前日に実の父親に銃で射たれ、非業の死を遂げる。
もちろんふたりが生きているかどうかは、アルバムの価値とは無関係なのだけど、そういうエピソードを知った後でこのアルバムを聴くと、ふたりのデュエットが、そして歌をうたうという行為がとても神聖なものだということを改めて感じる。
残された命を削りながら歌うタミーの無垢な歌声と、それをやさしく支え包み込むマーヴィンの歌声。タイトル曲の「YOU'RE ALL I NEED
TO GET BY」などを聴いていると、ビジネスという檻に閉じ込められたふたりが、見つめ合い、抱き合いながら歌うことで、お互いの悲しみをすべて忘れ解き放とうとしている姿を想像しないではいられない。(あまりに感情的に聴き過ぎだろうか?)