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アルケミー化にはじまり、Ethernetカード、G3カード、ビデオカードなどによって強化を図ってきたLX100だが、HARD OFFでジャンク購入したDT/233が安定動作してしまったこともあって、この1年ほどは出番のない状態が続いていた。一時はDVDドライブとRage Orionを載せてDVD再生機にしようかと目論んだこともあったのだが、CPUに負担がかかりすぎるのか途中でフリーズしてしまってうまくいかない。豪華なパーツを満載したまま死蔵しておくのは非常にもったいないし、かといって処分するには忍びなく、どうにか使い道はないものかと考えあぐねていた。

そんなある日、とあるフリマサイトに気になる商品を見つけた。中古パーツのオークションやフリマサイトを毎日のようにチェックする作業は、この2年ほどの間にすっかり習慣化し、すでに趣味と言っても過言ではないほどになっているのであった。
出品されていたのは、MAXpowr G3-L2 400/200MHz。以前からATO's PageMacintosh Columnなどを見て好印象を抱いていたNewerTech製の54xx/64xx用G3カードである。うーーー、試してみたい!という常軌を逸脱した衝動を抑え切れなかった僕は、半死蔵状態のLX100のためにさらなる投資を決意したのであった。どこか間違っているような気もするが・・・。


MaxPowr G3-L2

 

ヒートシンクは真っ黒な横縞。Sonnet製と比べてずいぶん地味な感じだが、ネットで見たイメージよりずっとシャープな感じでかっこいい。さっそく古いG3カードをロジックからはずして、取り付けてみる。メモリと接触する寸前だったSonnetのカードとは逆向きにヒートシンクがついていて、少し安心である。

ドライバはOWCのサイトからv2.0.5Jをダウンロード&インストール。気になるのは例のいい加減な3.3V電源生成装置で間に合うのかどうかという点である。

電源スイッチを入れる・・・グレー画面・・・HappyMac・・・そして起動画面に入るところで・・・・・爆弾!!!ありゃりゃりゃ?
何度やり直しても同じである。OS9.1をインストールし直してみたり、HDDを交換してみたり、G3カード以外の増設カードをはずしてみても、やはり爆弾(-_-#
電源なのか?それともカードの不良?

LX100からロジックを抜き出して、PowerMac6300の筐体に突っ込む。6300はこういう時の検証用に捨てずにおいたものだ。こんな邪魔なものをとっておいても使うことなどほとんどないのだが、こうしてたまに役に立つものだからついつい溜めてしまい、部屋の中はいつもゴミの山である。
HDDも移設して電源スイッチを入れる・・・グレー画面・・・HappyMac・・・そして・・・・・ほほう、こちらはちゃんと起動するのですね。爆弾など現れず、実に安定した様子。うーむ、やはり電源なのだな。しかし3.3V化の定番LT1585CT-3.3は4.6A、安定化電源キットは5Aのはずなのに何がいけないんだろう・・・?


ネットで検索してみたら、すぐに理由がわかった。index.htmlというサイトに全く同じ事例が掲載されていたのである。いやあ、先輩がいらっしゃったとは(苦笑)。それによると、安定化電源キットに載っているLM338Tは電圧可変タイプであるため、起動途中に電圧低下が起きるらしい。300MHzでは問題なかった電圧低下が、CPUのグレードアップによってネックとなってしまうようなのだ。

となると、やはりLT1585CT-3.3を入手しなくてはなるまい。1年半前には名古屋で手に入らなかったパーツだがひょっとしたら!?というかすかな期待を胸に抱きつつ、仕事で大須へ行ったついでに探してみることにした。

LM1085IT-3.3

  第2アメ横の家電ショップが軒並み撤退してしまっていたのには少々焦ったが、電子部品のショップは幸いほとんど残っていた。例のタケイムセンさんを覗いてみるが、やはりLT社のパーツは扱っていない様子。そりゃそうだよなぁ、とあきらめかけたその時、「3.3V」と書かれた3端子レギュレータが壁にぶら下がっているのを発見! 袋には「LM1085IT-3.3」とある。聞いたことないなぁ。出力は・・・3A?!うーん、微妙である。

しかし、 ほんの一瞬迷った後、僕はすぐにレジへ向かった。LM1085IT-3.3の袋にはなんと「300円」と書かれていたのである。ダメならダメで仕方あるまい。動いて当たり前のものを組み立てるよりワクワクできるし、サイトネタも膨らむではないか(笑)。

製作開始。はんだごてを手にするのも久しぶりだ。マニュアルはもちろん「It's a tiny story of "PIONEER MPC"」である。
LM1085IT-3.3の他に必要な電解コンデンサとタンタルコンデンサ(いずれも100μF・耐圧10V)は、1年半前に安定化電源キットと一緒に買ってとってあったものを使用。これらがどんな役割をするものなのかは未だに理解できていない。マニュアルに従うのみである。基盤は部屋のどこかに転がっているだろうと思ったのだが、よさげなものが見あたらなかった。安定化電源キットの端の方があいていたので、これを切り取って使うことにした。プリント配線がしてあるので、配線の手間が少しだけ省けるだろう。

LM1085IT-3.3の端子はLT1585CT-3.3と異なり、左から順に、GND、Vout、Vinとなっている。「It's a tiny story of "PIONEER MPC"」を見て同じように配線するとかなり切ないことになるようなので、要注意だ。
忙しいさなか、深夜に目をこすりながらの作業ではあったが、はんだ付け作業は順調に進む。これまでHDDやATAカードの補修、メルコのG4カード用クロックアップモジュールの製作などのおかげで、少しは要領がわかってきたようだ。基盤のプリント配線に合わせてパーツを配置したので、見た目はあまりよくないが、とりあえずはんだ付けは完了。安定化電源キットからヒートシンクと絶縁シートを外して、LM1085IT-3.3に付け替えればできあがりだ。

LX100に基盤を取り付ける際の配線は、安定化電源キットの時と同じである。
  配線1
3.3V変換器  
配線2

マシンへの接続を終え、恐る恐る電源を入れてみる。無理だろうな〜・・・おや?びっくり。今度は爆弾が出ることなく、起動が進んでいく。ラッキー! このG3カードは、3Aあれば大丈夫なんだな!

Gauge PRO

コントロールパネルのMAXpowr Controlを開いてみる。ほほう、コピーバックとライトスルーの設定ができるのか。そういえばSonnetのG3カードにはコントローラがなかったな。キャッシュ速度も1/1、1/1.5、1/2、1/2.5、1/3と5通りの倍率を選ぶことができるようだ。さっそく1/1.5にしてみるが「これじゃ不安定になるから元に戻すよ!」と言われてしまう。残念。1/2より高くは設定できないようだ。MAXpowr G3には400/200MHzの他に300/200MHzもあるので、そちらに対応してるだけなのかな? このカードではあまり使い道はないようである。

MaxPowr Control   MaxPowr Control

電源が変わっているので単にG3カードのせいとは言い切れないが、以前と比べてずいぶんサクサクと動く気がする。本当に速くなっているのかを確認してみよう。恒例、System Infoのお出ましである。せっかくなので、いったんはずしたSonnetの300/512kと、これをクロックアップした320MHzでもベンチを取って比べてみた。

CPU Test

おぉー、40%も伸びているではないか。LX100で1000%オーバーできるとは、このカード予想以上にすごいゾ! Sonnet/300との違いにも驚いたが、コピーバックとライトスルーでこんなに差があるというのも新発見だった。しばらくコピーバックモードで使用しているが、特にエラーなどは起きず安定した様子だ。


サブ機ということもあってバリバリ使い倒したわけではないが、CPU温度もそこそこ、動作も安定しており、噂通りの逸品である。すでにメーカーのサポートもなくなってしまったが、フリマやオークションに登場することも少なくなったこのカード、64xx/54xx愛好家の方が見つけたら一度買って試してみるのも面白いと思う。本当はSonnet、Interwareの400MHzと比べて、G3-L2対決をさせてみたいのだが・・・そのためだけにこれ以上の投資はちょっとあり得ないな。とりあえず、快適になったこのマシンを何に使うか、ちゃんと考えなくては(笑)。

【2004.4.13】

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