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「HARD OFF」の看板を見ると、なぜかふらふらと迷い込んでしまう。一度入ると長い時間をかけて、中古のパソコン、AV機器、楽器を眺めて回るのだが、めったに欲しい物がないのと、概ね僕の査定より高めに設定されているのとで、何か物を買うということはほとんどない。それでもつい入ってしまうあたりが、このサイトの管理人たる所以であろう。去年の夏に仕事で美濃加茂市へ行った時にも、通りに見つけたHARD OFFに吸い寄せられるように入っていった。

店長の趣味だろうか、そこにはずいぶんたくさんのMacが並べてあった。これは楽しそうだ。 ショッピングというよりは、まるで展示物を鑑賞するように物色を進めるうち、1台だけやけに安い値札が貼られているマシンを見つけた。

ジャンク 5000円。

DT233・・・愛機PM7300と同じ筐体にG3を搭載したマシンである。値札には「CD-ROMで起動しました」とメモ書きがある。とするとHDD不良か。スペック等を店員に質問してみるが、ジャンクだから答えられないの一点張り。筐体を開いて中を覗くことも許してもらえなかった。少し迷ったが、ここで出会ったのも何かの縁。せめてコラムネタぐらいにはなるだろうと、お持ち帰りすることにした。

  DT233

帰宅してフタを開けてみると、メモリは32+64の96MB、HDDとCD-ROMドライブは純正。今まで手術歴がないらしく、中はずいぶんきれいだ。「ATO's Page」のMacintoshコラムと照合すると、ロジックROMともRev.2のようである。起動してみると、案の定「?」マーク付きフロッピーアイコンが登場。ふむ、HDDは逝ってるようだな、と落ち着き払ってOS9.1CDから起動してみる・・・あれれ、また「?」マークだ。

おのれ、HARD OFF、謀ったな!

しかし冷静になってみると、起動音はするし、OSを認識しないだけでロジックは生きている様子だ。それでは代わりのドライブで、と部屋を見回すが、山積みになっているCD-ROMドライブはSCSI用ばかり。以前友人から譲り受けたDOS/V組み立てセットの中にATAPIのCD-ROMドライブがあったことを思い出し、段ボール箱から発掘して換装する。OS9.1CDを入れて再度チャレンジ・・・よっしゃ!今度は無事起動。もともと積まれていたHDDとCD-ROMドライブを別のマシンに接続して検証してみた結果、いずれも故障していることが判明した。CD-ROMで起動したというメモはいったい何だったのだろう? まあ、いいか。ジャンク品としては上物だ。

いよいよ僕の部屋にもネイティブG3マシンがやってきた、としばらく満足感にひたっていたが、よく考えるとG3/233MHzのスペックはLX-100に積んでいるG3/320にも劣っている。PM7300で一杯一杯なのに新たな改造に手を染める余裕などあるはずもなく、DTはしばらくの間、第3のマシンに甘んじることとなった。

それ以後、オークションサイトのチェック項目にはZIF用のアップグレードカードが加えられた。すぐに購入する資金はないが、いざというときに備えて相場だけは知っておきたいし、何かの間違いで格安品が手にはいるかもしれない。目当てはSONNET G4/1GHzとPowerLogix G3/900MHz、あとはクロックアップが楽しめそうなOWC、PowerLogix、XLR8のG4/550MHzあたり。G3/900、G4/550なら3万円そこそこだが、どうせならG4/1G(こちらは5万円超)という気もしてなかなか踏ん切りはつかない。メイン機のPM7300改G4/576はPanther導入以来快適そのものなので、さして急ぐ理由もない。ウィンドウショッピングはそれからおよそ9ヶ月間続いた。


G4/1G&G3/233

 

ある日、SONNETのG4/1GHzを目玉にいろんなパーツをまとめ売りしている商品を見つけた。グロス金額は大きいが、他のパーツをすべて売り払えばわずか4万円程度でG4/1Gが手に入る計算だ。
実はRADEON MAC EDITIONを入手した時も同じような計算をしたのだが、いまだにほとんどのパーツを売らずに使い続けているという実績もあり、これはたいへん危険きわまりない皮算用ではあった。しかし、こんなチャンスは二度とないかもしれない。えーい、男は度胸だ!

ということで、さまざまなパーツと一緒にSONNET CRESCENDO/ZIF G4 1000MHz/1Mが届いた。少し前にB&W対応版(EG4-1000-1M-U)が出たが、入手したのはMT/DTとAll-in-one専用(EG4-1000-1M-J)である。

箱から出してみると、うわぁデカイ!もともと載っていたG3/233のカード(写真下)と比べると、面積にして3倍以上はありそうだ。カードの裏側にはすぐに折れてしまいそうな細いピンが無数に並んでいる。とてもデリケートな感じで、G2MacのCPUカードのように何度も抜き差しするのはちょっと不安だ。ヒートシンクをはずして基盤を撮影するつもりだったが、それも取りやめ。Mac改造サイトの管理人としては何とも情けないことだが・・・。

レバーを起こして、純正のCPUカードを取り外す。G4/1Gを丁寧にはめ込んで、レバーを戻す。実際に取り付けてみると、ロジックの電源コネクタやフロッピー用コネクタ、IDEコネクタなどに当たる寸前である。CPUの発熱がよほど大きいのだろう。DTの狭いスペースを目一杯使って、ヒートシンクをできる限り大きくしようという開発者の思いがひしひしと伝わってくる。

冷却ファンは、手前が下向き、奥が上向きに風を送るように取り付けられている。シャシーを閉じるとマシン本体のファンがすぐ上になるので、ここへ空気を送り込もうという構造のようである。冷却ファンの電源コードは基盤に直接はんだ付けされているので、ファンを交換するのはちょっと面倒だ。

電源コネクタがあり、ロジックの電源から付属の電源アダプタケーブルを介して基盤へ直接電源を投入するようになっているのも、僕が今まで見たことのない仕様である。大容量のATX電源を換装することも考えていたのだが、ここに突っ込むことを考えると、あまりチャレンジしたくない気がする。

 

Setting


Metronome


次にPM7300からRADEON、AEC-6880M、USB/FireWireカード、HDD、DVD-ROMドライブを移植。メモリは64MB×1枚を残して、256MB×2枚を新たに購入。OS9.1を起動し、付属のCDからSonnet Processor Upgrade 2.0.3をインストールする。

付属のユーティリティMetronomeには、CPUと同速のL2キャッシュが256KB、1/4動作のL3キャッシュが1MBと、スペック通りの数値が表示されている。

Gauge PRO
  ちなみにGauge PROはこのCPUに対応していないらしく、表示されるデータの大半がボロボロだった。

CPU温度やL2/L3キャッシュなど、全く表示されない項目はともかく、バスとCPUのスピードが微妙に低く表示されているのが何とも妙な感じだ。
SONNETのドライバはL2/L3キャッシュの倍率が固定で面白くないので、個人的にあまり好きではない。ひいきのXLR8ドライバは権利譲渡によりまた新たに購入しなくてはならなくなってしまったため、フリーでダウンロードできるPowerLogixのCPU Directorを試してみることにした。起動もOK、キャッシュ有効化もOK。L3キャッシュの設定についてはよくワケがわからないが、いろいろと設定があり楽しそうである。

しかし作業をするうち、突然マウスが動かなくなった。フリーズか?と思い再起動しようとすると、急にまたマウスが動き始める。しばらく経つとまたマウスが動かなくなり、10秒ぐらいでまた動くようになる。これが延々繰り返され、とても使い物にならない。

ATO's Pageの雑記帳や掲示板にいただいた報告によると、この症状はPowerLogixやメルコのZIFカードでも発生しており、SONNETのカードだけというわけではないようだ。SONNETのドライバに戻すと症状が出ないことから察するに、CPU Directorのバグではないかという気がするのだが・・・。
 
CPU Director

ということでCPU Directorをあきらめ、SONNETのドライバに戻してのベンチマークである。「現在のシステム」がG4/1Gで、「DT/233」が純正CPUのままでの計測。ディスクキャッシュは面倒なので自動設定のまま、128Kにはしていない。
CPU Test
FPU Test

こりゃスゴイ。爆速である。・・・というか、これはもはやSystem Infoで計測するレベルではないな。 そもそもOS9.1にここまでのパワーが必要だとは正直思えない。これまで無茶なクロックアップをしたマシンを使ってきたせいか、アプリケーションがギュンギュン処理をする様子を見ると、いつ固まるかとびくびくしてしまうのだ(そして時々本当に固まる!)。


CPUのベンチをとるついでにディスクも計測したのだが、こちらの数値もずいぶん大きく伸びている。あれ?でも、オンボードATAとの比較ならまだしも、どっちもAEC-6880M+IBM IC35LO40AVVA07でこんなに差が出るものなのか? なんだかキツネにつままれた感じである。
Disk Test
CPUが速くなるとディスクのベンチも引っ張られるという話はよく聞くが、いくらなんでもこの伸び具合は極端過ぎる。念のため、ExpressPro-Toolsでベンチをとってみると・・・
G4/1G→
ATTO
G3/233→

だよね(少しがっかり)。ひょっとしたらSystem Infoのディスク評価には、CPUの処理速度も関連しているのではないだろうか。ベンチは所詮ベンチだし、あくまで参考程度にしかならないということだな。まあ、何はともあれ、読み書きとも44MB/sというのはうれしい数値である、

すでに僕のメインOSは10.3に移行してしまっているので、OS9.1での検証はここまで。繰り返しになるが、OS9.1ではここまでのスペックは必要ない気がするし、なにしろ爆速=フリーズのトラウマに苛まれている僕には、恐くて恐くてとても常用できない。OS9.1だけで使うのであれば、コストパフォーマンスを考えても、ワンランク下のG4/G3カードで十分ではないだろうか。そしてこのG4カードを載せるのなら、せっかくだからOS Xにしたいところだ。次のページではOS10.3での検証も紹介しようと思うので、あわせて参考にしていただければ幸いである。


ところで、このカードを購入する前には必ずVRMのメーカー名を確認しておく必要があるということは、いったいどのぐらい知られているのだろうか。SONNETさんの案内がどうにも十分ではない気がして仕方がないので、ここで簡単に説明しておこうと思う。

SONNETのZIFカードは、Royal社製のVRMを使っている一部のMT/DTには使えないらしい
。Royal社製が載っているマシンにうっかり取り付けて起動してしまうと、VRMを破損したり、カード本体を傷めてしまうこともあるという。

  VRM

僕がこの情報を知ったのはどこかの掲示板だったと思うが、こんな重要なことがメーカーの製品ページにも製品のパッケージにもマニュアルにも明記されておらず、サポートページまで探しにいかないとわからないというのはどういうことだろうか。僕のDTは幸いFairchild Semiconductor社製だったが、もしRoyal社製で、知らずに取り付けていたらと思うとゾッとする。Macパーツのメインサプライヤーだけに、SONNETさんにはそのあたりもぜひ頑張ってほしいところである。

【2004.5.12】

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