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知り合いのグラフィックデザイナーさんから電話があった。久しぶりにお仕事をいただけるのかと思ったら「いや、仕事の話じゃないんだけど・・・。」どうやら事務所の大掃除で、G4を2台ほど処分することになったらしい。捨てる前に、念のため連絡をしてくれたというのだ。趣味がMacいじりだなんていつ話したのかぜんぜん記憶がなかったが、なんともありがたい話である。

現物を確認するため事務所へ行ってみると、入口の脇にドライブを抜かれたグラファイトの筐体が2つ、まるで粗大ゴミのように置かれていた。若いデザイナーさんが「500MHzみたいなんですけど・・・。」と説明してくれる。「ただ・・・1台はフタの爪が折れてて、1台は電源が死んでるんですよ。」・・・ということはニコイチしなくちゃまともに使えないってこと?

中を開いてみると、ヒートシンクのバネに「DUAL」と書いてある。500デュアル!? いいマシンじゃないですか。こんなの捨てるなんて、もったいない、もったいない。部屋にはすでに今年1月に友人から譲り受けたPCIグラフィックが鎮座しており、さらに2台置くスペースなどないのだが、こんな機会を逃してはバチが当たるというものだ。迷わず2台とも引き受けることにした。

dual
なんで「DUAL」って刻んであるの?
 

帰宅して調べてみると、純正で500MHzデュアルが載っているのはGigabit Ethernetだとわかった。ブログでGEをゲットと報告し、ベンチを紹介。しかし数日後にヒートシンクを外してみると、なんとCPUは1個しか載っていなかった。システムプロフィールを確認してみると「コンピュータ名: Power Mac G4(AGP グラフィックス)」。ありゃりゃりゃ、やっちゃった(汗)

ネット上にニセ情報をばらまいたことをブログで陳謝し、AGPゲットと訂正。まあ、うちじゃGigabitも宝の持ち腐れだし、そのうちアップグレードするに決まってるし。AGPで十分幸せではあるのだけど。


これまでデカすぎて嫌だと言い続けていたG4タワーは、実際に部屋に3台置いてみると、やはりとんでもなく邪魔である。しかし性能はというと、バスクロック、メモリ、ビデオがそれぞれ性能アップしているせいか、純正500MHzでも意外にストレスを感じない。Tigerもサクサク動く。画像や音声データを扱わなければ、このままでも十分使えそうなほどだ。フタの開け閉めが簡単ですぐに中をいじれるのも、改造マカーにとっては非常にありがたい仕様。うーん・・・とりあえず使ってみることにしましょうかね。部屋はどのみちぐちゃぐちゃなのだし。

g4x3
どーん!

Macデビューしてからかれこれ13年(まだそんなもんなんだー・・・)、ずっと横置き筐体のマシンを愛用していて、タワー筐体には全く興味がなかった。なので、G4 AGPについてはほとんど知識がない。久しぶりに『Macintosh改造道』を取り出し、マシンの素性を探る。ネットを徘徊して、CPUアップグレードカードの情報を拾う。へぇー、いまCPUカードの国内市場は、ほとんどSonnetオンリーなんですねー。でもSonnetのカードはクロックアップができないんだよなー。オークションをチェックしても、AGP用のCPUカードはあまり出ていない様子。

となると、頼れるのはVintage Computerさんである。VCさんはアメリカ・ロスアンゼルス近郊にある改造マカー御用達ショップ。送料と税金分がややお高めではあるが、Sonnetはもちろん、PowerLogix、FastMac、Giga Designs、Newer Technologyと各メーカーのCPUカードを取り扱っており、日本語OKのありがたーいお店である。『CPUアップグレードカードの選び方』なんていう解説ページまで用意してくれているので、お勉強しながら商品を選ぶ。ふぅーん、7455にはL3が2MB載ってるんですねー。処理能力は7447の25%増し・・・ほー、そっちがいいなー。お、7448なんてのもあるのか〜。

ネットの情報はというと、残念なことにG4 AGP関連の改造サイトはあまり見つからない。ベージュマシンの改造サイトはあんなにたくさんあったのに・・・。ベージュと比べて歴史が浅いせいなのか、まだまだ実用マシンで趣味の域には達していないからなのか、それとももしかしてイジリ甲斐のないマシンだったりするのか。情報源になりそうなのはほんのいくつかの個人サイトと2ちゃんねるぐらい。ここでもやはり7455が人気のようだ。高クロック・低発熱・省電力が売りの7447はクロックアッパーたちにとってはむしろつまらない商品ということなのかな?

折しもVCさんでは8周年記念大創業祭が始まり、送料がオール半額。CPUカードの送料は通常2000円ちょっとかかるので、1000円以上もお得になる計算だ。おー!これはきっと神が買えと言っているのに違いない!と、いつものように都合良く神様に責任を押しつけながら、CPUカード選びはさらに本気モードへ。


AGP用のCPUカードは、1GHzが上限だったこれまでとは違ってずいぶんハイスペックである。VCさんの取り扱い商品だけでも、1.4GHzシングルから2.0GHzデュアルまでバリエーションが実に豊富。しかも使われているCPUの定格はわからないので、どれがお得なのか、どれが安定して動きそうなのかがさっぱりわからない。L3キャッシュのあるなしが、商品比較をさらに難しくさせる。なんで、こんなややこしいことになってるんだ?

見れば見るほど、ついついハイスペックな商品に心を奪われがちだが、別にこれまで使っていた1GHzマシンに不満があったわけではない。たまたま手に入ったAGPを実用レベルに強化したいだけのことである。ここは頭を冷やして、高価なデュアルカードは却下。コストパフォーマンスにすぐれたシングルカードに狙いを絞ることにする。本命はVCさんで最安値のGiga 7455/1.4GHz(29,800円)。対抗馬は限定数特価の上位モデルGiga 7455/1.53GHz(32,800円)。やはり限定数特価で、7448ながら5万円を切っているNewer 7448/1.8GHz(49,800円)も捨てがたい。

しかし、僕が候補に挙げた3商品は、他のマカーのみなさんにもやはり魅力的に映ったようで、ふと気づくとすべて在庫切れになっていた。がーーーん(゚Д゚;)となると、5万円以下&クロック変更ができる商品はあと2つしかない。あんなに悩んだのはいったいなんだったの・・・?

FastMac   FastMac G4 card for PM G4
1.53GHz/2MB
FM-AGP/1533-2


35,800円
VS Goga Designs   Giga Designs 1.8GHz G4 7447
7A-1800U



34,800円

心情的にはL3キャッシュ付きのFastMac1.53GHzといきたいところだが、メーカーのマニュアルによると動作倍率は15倍が上限で、クロックアップが楽しめない。Accelerate Your Macに載っていたGigaの16倍設定を参考に無茶をするのも一興だが、7455のクロックアップは発熱がかなり激しいらしく、下手をすると水冷化に手をだす羽目にもなりかねない。

その後、ブログのコメント欄にいただいた「地球環境と電気代のために省電力の7447にしては」というアドバイスに妙に納得したこともあり、7447もだんだん魅力的に見えはじめる。低発熱のGiga1.8GHzで2.0GHzにチャレンジというのも悪くないかも・・・(そこかよ!)。早く決めないと送料半額キャンペーンが終わってしまうし、残り2つのカードも在庫切れになってしまうかもしれない。いい加減どちらかに決めなくては・・・うーん・・・どうしよう・・・えーい!・・・ポチッ。

勝者はGiga 7447/1.8GHz。商品代34,800円+送料2,500円×半額+TAX1,098円=締めて37,148円ナリ〜。


ずいぶん前置きが長くなったが、そんな無駄な検討期間を経てようやく購入とあいなったAGP用CPUカード。今回はケチらず、3〜4営業日で届くというヤマト国際宅急便を選定。商品は注文から4日目、日曜日の朝に到着した。

ヤマト運輸のサイトからトラッキングを確認してみると、VCさんからの発送は注文の翌日。翌々日にLAを発って、3日目には成田に到着。4日目の朝に愛知県に届き、即配達という流通経過であった。アメリカに注文した商品がたったの3.5日で届くとは、大した世の中である。

 

Package

Notice

 

開封してみると、元箱に何やら貼り紙がされていた。

重要!
装着前に、必ず付属ソフトによる Firmware のアップデート(パッチ処理)を行ってください。


ファームアップデートをしないで「起動できない」と問い合わせてくる客がよほど多いのだろうか? お願いだから、これだけは忘れんといてプリーズ!というショップの祈りがひしひしと伝わってくる。

Label

 

箱のラベルには「Model Number: 7A-1800UPG」と記載されている。初めて見る型番。「PG」って何ですかね?

言われた通りに、純正CPUのまま付属のCD-R(印刷も何もされていないTDKの市販CD-R)からGiga Designs Updater 3.0.1をインストールし、ファームアップデート。純正ファームは入手後すぐにv4.2.8f1にしてあったので問題なし。VCさんのサイトに(ちょっと内容が古いですが)詳しい説明があったので、安心して作業することができた。v3.0.1では、OS9起動用のパッチも一度にインストールできるようになっているようだ。

 

CD-R

Giga Designs Updater

  1. 「Enable」を押して、「Install firmware update」を選んで、「shutdown」を押すと、自動的にマシンの電源が落ちる。


2. マシン本体のプログラマーボタン(電源ボタン右下のボタン)を押したまま起動すると、「プーーーー」という甲高い起動音が鳴るので、プログラマーボタンを放す。


3. ファームアップデートが終わると、自動的に電源が落ちる。 

そしていよいよ、CPUカードとご対面。

Body & Heatsink   Cooling Fan

銀色のヒートシンクと基盤が一体になった本体はシンプルでなかなか美しい。冷却ファンは5cmが2個、金属のステイに綺麗に並べて取り付けてある。もっと無骨なルックスを想像していたので、なんとなく意外な感じ。考えてみれば、新品のCPUカードを買うのは今回が初めて。いままでオークションで入手してきた中古品と比べたせいで、余計綺麗に見えたのかもしれない。

Dipswitch

 

動作クロックは左下のディップスイッチで設定する。VCさんメーカーさんの設定表ではスイッチが5個になっているが、このカードにはスイッチが6個もついている。付属のマニュアルにはちゃんと6個の設定が載っていた。マイナーチェンジモデルなのかな?

マニュアルに載っていた設定表は以下の通り。6番スイッチは常にOFFである。1.4GHz(133MHzモデルの1.87GHz)に設定されていたので、1.8GHz設定に直す。


AGP Graphics and Gigabit Ethernet Settings
(100MHz System Bus Models)
Speed
1
2
3
4
5
6
1.4GHz
ON
ON
OFF
OFF
ON
OFF
1.5GHz
OFF
OFF
OFF
ON
ON
OFF
1.6GHz
ON
ON
OFF
ON
ON
OFF
1.7GHz
OFF
OFF
OFF
ON
OFF
OFF
1.8GHz
OFF
OFF
ON
OFF
ON
OFF
AGP Graphics and Gigabit Ethernet Settings
(133MHz System Bus Models)
Speed
1
2
3
4
5
6
1.4GHz
ON
OFF
OFF
OFF
ON
OFF
1.47GHz
ON
OFF
OFF
ON
ON
OFF
1.53GHz
OFF
OFF
OFF
OFF
OFF
OFF
1.6GHz
ON
OFF
ON
ON
ON
OFF
1.67GHz
ON
ON
ON
ON
ON
OFF
1.73GHz
OFF
ON
OFF
ON
ON
OFF
1.8GHz
ON
ON
ON
OFF
OFF
OFF
1.87GHz
ON
ON
OFF
OFF
ON
OFF
 
Manual
↑付属のマニュアルはかな〜りショボイ。


Finished



冷却ファンは、筐体を閉じたときに5インチドライブに干渉しない位置に取り付けなくてはいけない。AGP/GEの取り付け位置では、基盤をロジックに固定するためのビスをファンが隠してしまうため、ファンを取り付ける前に基盤を固定しなくてはいけない。

当然、外すときは逆に、ファンを先に外さないと基盤のネジを緩めることができない。・・・結構面倒だなぁ。ま、本来はそんなにしょっちゅう脱着するものではないんでしょうけどね・・・。

同梱されているネジは冷却ファン固定用の4本だけ。基盤の固定には純正のネジを流用する。


長い準備を終えて、ようやく起動。ジャーーーン!
しかし・・・
0MHz   0MHz(笑)

そういえば このカードは、ドライバをインストールしなくてはいけないんでした。
再び付属CD-Rを突っ込んで、
Giga-Meter 1.1をインストール。

1.8GHz   無事1.8GHzを認識!
めでたし、めでたし。
ようやくベンチです。
 ↓Giga Designs 1.8GHz
Xbench_1.8GHz
   ↓AGP純正 500MHz
Xbench_500MHz

基準マシンがG5/2.0GHzデュアルになってしまったv1.3では、これまでずっと20前後のResultsを比較する切ない日々を過ごしてきた。40オーバーという数値はかなり幸せである。CPU Testは、28.27→81.85とクロックの差がそのまま出ている感じ。ビデオもずいぶん影響を受けているようで、OpenGLは100オーバー!なんかすごいぞ〜!

ベンチは所詮ベンチでしかないものの、改造マカーにとって数字の大きさはとても重要だ。満足満足。 ただ、L1キャッシュ16K、L2キャッシュ512Kというのは、やっぱりかなりさびしいスペックだなぁ。7455に若干の未練が残る。


次にOS9の起動確認。
最近ほとんど使っていないが、いざというときのため、一応動作テストだけはしておこう。

656MHz

案の定、ちゃんと認識していないようだけど・・・

Metronome   SONNETナイス!
L2キャッシュは等速ですね。

あれ?L1キャッシュが32Kになってるゾ?
Xbenchとどっちがホントなんだろう?

一応System Infoも(笑)

System Info_CPU
System Info_FPU

「もはやSystem Infoで計測するレベルではない」とコメントしたDT/1GHzのベンチ(CPU=2401、FPU=1766)を2倍以上も凌駕する驚異の数値。体感的にもDTと比べて速いだけでなく、余裕が感じられて安心できる。アプリの動作については保証外だが、もしちゃんと動くなら、これはきっと快適に違いない。

そんなわけで、僕のメイン機はとうとうタワー筐体G4 AGP/1.8GHzになってしまった。使いはじめて10日ほど経ったが、いまのところ一度もフリーズすることなく、安定動作している。画像や音声処理の速さもさることながら、何よりビデオカードがAGPになったおかげで、動画をストレスなく見られるようになったのが喜ばしい。DVDを流しながらDreamweaverなんていう使い方は、いままではまともにできなかったことだ。

7447の特長である発熱の少なさについては、確かにふれこみ通り。負荷のかかる作業をしてもヒートシンクが熱くなるようなことはない。せいぜい40℃ぐらいだ。試しに冷却ファンを止めてみても、2〜3℃上がるだけで大した問題はなさそう。ファンの回転音もほとんど気にならないレベル。僕はそのまま使っているが、電源ファンを静音タイプに換えているような方は、このカードをファンレスで使うというのもありではないかと思う。

ATOさんコラムによると、7455/1.33GHzデュアルと7447/1.8GHzデュアルの処理能力がほぼ同等のようなので、もし7455/1.5GHzを選んでいれば、さらに高いパフォーマンスも望めたかもしれない。これだけ安定動作してくれるなら7447もなかなか悪くないよね!と思いつつも、7455を試してみたいという気持ちは否めない。7448もあり、デュアルもあり、さらにビデオカードもあり、まだまだ改造の余地がいっぱいのこのマシン。そのうちまた我慢できずに無駄金を放出することになるのではないかと、いまから不安いっぱいである。これホントに譲ってもらって正解だったんだろうか(苦笑)


ところで、来月のクレジットカードの支払いをネットで確認していたところ、この買い物の分が1000円ほど高く記載されていた。なんで??? ・・・改めてVCさんの「注意事項」を読み直してみたら、クレジットカードでの支払いはドル建てになると明記されていた。しまった! キャンペーンで得した分がチャラになっちゃったよ〜! あまりに普通に購入できるので、海外での買い物だという意識がすっかり飛んでおり、何も考えずにクレジット決済をしてしまったのだ。説明には「円合計額に対して増減する場合がある」とあるが、実際には高くなることの方が多いんじゃないかと思う。VCさんで買い物するときは、商品選びだけではなく、支払い方法もちゃんと検討した方がよさそうである。

※価格の記載ははすべて当時の価格です。現時点ですでに価格が変わっているものもありますのでご了承ください。

【2007.7.21】

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